はなしのたね。2016.vol.22
1:「初生雛鑑別師」のはなし。
 働けど働けど、わが暮らし楽にならざり・・・石川啄木はワーキングプアなどという現代の生活を予見してこの歌を詠んだのでしょうか。こんな時代なら、いっそのこと物凄い資格でも取得して高収入を得られるようになりたい!ですよね。高収入と言えば「士業」。弁護士や司法書士、そして忘れちゃいけない、ヒヨコ鑑定士。
 生まれたばかりのヒヨコがオスかメスかを見分ける仕事です(正式名称がタイトルの初生雛鑑別師)。馬鹿にしてはいけません、ヒヨコ鑑定士はれっきとした国家資格。収入は多い人で1,000万を超えるといいます。当然試験も超難関。毎年の合格者数はわずか2~3人程度という、数ある資格の中でも最高峰の部類に入ります。
 ヒヨコの判別は畜産業界を左右します。まずヒヨコのオスは食肉用として育てるため、よく脂の乗った肉になるような餌を与えていくことになります。メスは卵を産ませるために育てるので、元気な卵を産めるようにカルシウムを含んだ餌を与えて育てます。逆に、メスにオス用の餌を与えて育てると卵を産まなくなり、オスにメス用の餌を与えるとあまり脂の乗らない硬い肉になってしまうのです。出来るだけ早い段階から雄雌を判別して、性別に合った餌を与えることでより商品価値の高いニワトリを育てられるようになるというわけです。
 ヒヨコの判別は日本で開発された独自の技術です。海外には同じような技術は存在せず、ヒヨコ鑑定市場は日本が独占しています。そのためヒヨコ鑑定士は海外からも引っ張りだこ。現在も約70人のヒヨコ鑑定士が世界中で活躍中です。その仕事内容はもちろん、ひたすらそのヒヨコがオスかメスかを見分けること。生まれたばかりの雛の肛門付近を触り、突起物があればオス、無ければメス、と判別します。1羽にかける時間わずか2秒という超絶的なスピードで、数千羽にも及ぶヒヨコを次々と判別しなければなりません。求められる精度は鑑別率99.9パーセント。1,000羽を鑑別して1羽、間違いがあるかないかというレベルです。
 受験資格は高校卒業資格がある25歳以下の男女。養成所に入所して鑑別技術を学び、予備試験をクリアーしてようやく鑑別師研修生として実地研修を受けられるようになります。研修生は高等鑑別師考査を受験し、合格してやっと初生雛鑑別師としての資格が貰えるのですが、その最終試験は400羽のひよこを36分以内に鑑別して、鑑別率が97~98パーセントに達することが求められます。
 石川啄木は冒頭の歌を「ぢっと手を見る」という文句で締め、切ない心情を表現しましたが、「ぢっとヒヨコを見る」仕事に就ければ、「働けば働くほど、我が暮らしは楽になってゆく」ことでしょう。(N)

2:「アタマの体操・シケパ(脳トレ編)」
 人間、読み書き算盤が肝心。脳を活性化しアンチエイジングに最適です。お役立て下さい。

【問題】
①■に入る数字は何?
②□に漢字を入れて熟語を作り、タテ読みで人名にしてください
③マッチ棒でできた式、1本動かして、式を完成させてください

3:ハナタネ寄席
★レストランとかで、
俺「ぷりぷりオマール海老のふんわりクリームソースパスタ1つください」
店員「はい、オマール海老のパスタですね」← これ、やめろ。

4: 
前回の答え
①出口
②六本木(6本・木)
③25×2+38=88