はなしのたね。2017.vol.05
1:「金栗四三」のはなし。
 今年も東京マラソンが近づいてきたのでマラソンネタをひとつ。マラソンにおける公式記録で最も遅かった記録というのをご存知でしょうか。タイムを競う競技で最も速い記録というのは誰が見ても一目瞭然。一番速いタイムが最も速い記録なわけですが、逆に最も遅い記録というのは確認が難しそうです。ところが、マラソンには「絶対に破られない『遅い』記録」が存在します。
 この記録を残したのは何を隠そう日本人選手。「金栗四三(かなぐりしそう)」という選手が1912年のストックホルムオリンピックで記録しました。そのタイムは何と「54年8ヶ月6日5時間32分20秒」!一体何が起こったのか?まずはその解説からいきましょう。金栗選手は日本人初のオリンピック選手です。ストックホルム五輪の予選会では、当時の記録を27分も縮める大記録を出し、文句無しで日本代表に選ばれました。世界最速の称号を携えて、意気揚々と乗り込んだ本大会で悲劇が訪れます。この年はとんでもない異常気象。ストックホルム(スウェーデン)という北欧の地ながら、気温は何と40℃!!参加68人中34人が棄権するという超サバイバルレースとなったのです。金栗選手も例に漏れず、日射病により失神してしまいます。そして今では考えられませんが、倒れたところを通りがかった人に発見され、近くの農家で介抱されます(スタッフ何してんねん)。目を覚ましたのは翌日の朝。当然競技は終了しており、金栗選手はゴールを諦めざるを得ませんでした。そして記録はまさかの「行方不明」。いやぁ、時代が時代とはいえ恐ろしい記録ですね・・・。
 これだけならただの間抜けな笑い話です。ですが冒頭で述べた通り、タイムとして記録が残っているということは、金栗選手はゴールをしているのです。どういうことか―――1967年、ストックホルム五輪開催55周年式典が開催されます。金栗選手はそこに招待されることになったのですが、ここでスウェーデンのオリンピック委員会が粋な計らいをします。当時の記録は「行方不明」であり、自ら「棄権」をしたわけではないとして記念式典で金栗選手をゴールさせることにしたのです。招待を受けた金栗選手は現地へ赴き、競技場をゆっくりと走って、場内に用意されたゴールテープを切りました。この時「日本の金栗、ただいまゴールイン。タイム、54年と8ヶ月6日5時間32分20秒3。これをもって、第5回ストックホルムオリンピック大会の全日程を終了します」とアナウンスされたのです。素敵すぎる!カッコいいぞ、スウェーデン五輪委員会!
 金栗選手は、今では当たり前となった高地トレーニングを日本に初めて導入したり、箱根駅伝の開催に尽力するなど、「日本マラソンの父」と称されます。よく人生はマラソンに例えられます。それは後戻りできない時間とコースが、苦しみに耐えながらゴールを目指す姿が、人生と重なるからなのですが、「マラソンの父」はこんなことも教えてくれたのではないでしょうか。『人生というマラソンは「行方不明」な本当の自分を探す旅なのだ』と。(N)

2:「アタマの体操・シケパ(脳トレ編)」
人間、読み書き算盤が肝心。脳を活性化しアンチエイジングに最適です。お役立て下さい。

【問題】
①どこで撮った?
②これ、何と読む?
③下の式に黒い直線を1本足して、式を完成させてください

3:ハナタネ寄席
★「お前の娘は預かった。返して欲しければ1を、それ以外は2を押して下さい。」
4: 
前回の答え
①腕(間に「―」を入れて読む 編む→アーム)
②9(部首の響き 「く」さかんむり→く→9)
③え(真半分にしてできるアルファベットの頭文字)